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おばあちゃま、世界を翔ぶ
〜情熱とコンパッションの半生記〜

New York ビズ!にて連載中
Vol. 80

アラブ首長国連邦のお話(1)

アブダビのルーブル美術館

ことしの4月に行ってきたルーブル・アブダビ美術館があまりにも素晴らしかったので、今日はその話をさせてください。

4月19日と20日にドバイで初めてのホリスティック医学のカンファレンスがあり、アラブ首長国連邦に含まれる国の一つに初めて行きました。カンファレンス後、せっかくなので観光をすることにしたのですが、私はドバイという街を楽しめなかったのです。
砂漠の中に人工で作った街は全部とても「きれい」に作ってあるのですが、何も心に訴えてこないのです。
例えば世界一高い建物とか、色々な「すごい」建物があるのですが、全てが人工的であることに魅力が感じられず、ここまで全然自然なものを除外してすごいわねと、がっかりしていた時に、フランス・パリにあるルーブル美術館系列のルーブル・アブダビ美術館がすぐ近くのアブダビにあり、とても評判が良いことを思い出し、車で1時間半なので、急遽そちらへ直行しました。

竹の籠を逆さまにしたような網のドームの天井から溢れる日の光

素晴らしかった美術館の建築

到着すると私は、もう驚いてしまって、息を飲んでしまいました。美術館の建築が素晴らしかったのです。
遠くから見ると、水の上に大きなお皿のようなものをうつ伏せに乗せた建物があってきれいだな、と感じるくらいなのですが、この建物はとにかく近づいてその屋根の作りとクリエーティブさを見ると一気に心が奪われてしまいます。なんと屋根が、板や瓦で出来ているのではなく、莫大な数の竹の籠を作るときのように材料を組み合わせて作られた網のようになっていて、複雑に重ね合った模様の合間から、日光が夏の木漏れ日のように美術館のあちこちをちらちら照らしているのです。

太陽の光を建築に取り込む

アブダビのサディヤット島の先端に建築された建物で、水辺であることを活かして建物の周囲に水が張り巡らせてあるのですが、この水面にも光が美しくゆらゆらと反射し、跳ね返った光の粒を見ていると、まるで星空のようにも見えるのです。
太陽の光という自然の恵みを活かし、でもただ「そのまま」使うのではなく、自分のクリエーティブな知恵を使って、これほどまでに美しい形で建築に取り込んでそれを美術館として作り上げるとは!とすっかり驚嘆してしまって、私はこの建物に関する本を思わず2冊も買って帰ってきてしまいました。

この建物の建築家はジャン・ヌベルという人だそうです。どんな意図でこの建物を作ったのか調べてみたところ、単に光と影、波の反響音と美術館の静寂を対比させようと考えただけでなく「思いがけない光の出会いだけが創る魅力」がある建物にしようという意図があったのだそうです。

世界第2のモスクの前で

聖地としての役割も

私は日中に訪れたので陽の光が差し込む様子しか見られませんでしたが、夜になると今度は星の光が差し込むのだそうです。雨が降った時にも、雨粒が網の目の間をくぐり抜けて少しずつ床に落ちてきて、これがまたキラキラと音と光が美しい音楽を奏でます。更に感動したのが、アラブ建築の象徴である「ドーム」の概念を取り入れているということと、貴重な美術品を守る聖地としての役割も勿論キチンと抑えてあるということです。

一体どうしたら、ここまでクリエーティブなものを作れるようになるんでしょうね。本当に驚きました。(次回8月3日号掲載に続く)