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おばあちゃま、世界を翔ぶ
〜情熱とコンパッションの半生記〜

New York ビズ!にて連載中
Vol. 81

アラブ首長国連邦のお話(2)

ルーブル・アブダビ美術館の網のドームの天井

私が買った本には『ルーブル・アブダビ美術館』が出来上がるまでの、計画や実験についても書かれていました。それによると、この、巨大な竹の籠の材料になる網のような天井は、星のような形をした、それ自体が網になっているパーツを組み合わせて出来ているそうで、なんと使用した数は実に7850個!

完成したらどのようになるのか実験するために、模型を2種類作ったのだそうです。一つは33分の1サイズの模型で、星型パーツを33分の1で7850個作って、組み合わせて作られたそうです。

これは実に1年に渡って、そのまま設置しておいて、実際に美術館ができたらどうやって掃除したら良いのか、など運用面での課題を検討するためにも使われたのだそうです。もう一つの模型は実際のサイズで作られた一つの星型模型で、一つだけでも既に17メートル×17メートルの大きさがあります。

これは土台を作ってその上に乗せ、様々な角度で置いてみて、光や雨の差し込み方がどうなるか、実験を繰り返したのだそうです。一つの建物が出来上がるまでには、これほどの実験や研究が行われるものなのですね。

さて、私が行った時、美術館ではちょうどレンブラントの展示をしていました。これがまた、最高でした。レンブラントは「光と影の芸術家」という代名詞で知られるオランダの画家なので、彼が描く光を見て、この美術館にぴったりの展示だと思いました。品揃えも、オランダのレンブラントの美術館よりも良いのでは?と思うほどの豪華な内容で大変堪能しました。

レンブラント以外のコレクションも、とても豪華なものが多く、展示の仕方も床の面積をたっぷり使い、一つ一つの美術品を質の良いケースにきちんとしまってあったり、使いやすい液晶画面の説明板が置いてあったりして、こんなにすごいことはお金持ちの国でなければ出来ないだろうと感じました。

出会う人たちはほぼ全員外国人

アラブ首長国連邦は、七つの首長国から出来た連邦国家で、その首都がこのアブダビです。お金持ちの国の代名詞のようになってしまったドバイも中心地の一つです。アラブ首長国連邦は石油や天然ガスの産出国なのでお金持ちなのです。でも国民の人口はたった940万人です。

ここに住んで働きたい外国人はたくさんいて、皆さんが旅行に行ってレストランやホテルなどで出会う人たちはほぼ全員外国人です。ここで労働できるようになるための労働ビザの審査は徹底的です。犯罪歴がないことは無論ですから物を盗む人すらいません。そのおかげなのか、滞在中、その治安の良さを感じました。夜中でも砂漠の中でも女性一人でも歩けます。

いろいろな国から来た労働者らと

全く働く必要がないアラブの国民

国民には、生まれた時から死ぬまで、生活費が支給されます。ですから、生きるために働く必要はまったくないのです。そして、子供も他の子よりも優秀になる必要がないから、学校にも行かない、という子供たちがたくさんいて、それは大変なことになっています。最近では、これではいけない、と政府が教育を義務化しました。世界中に貧困で食事もできない人がいるのに、これは奇妙なことです。

働く労働者は近辺の国から輸入するわけですが、その人たちは、自分のお家を持てないので、宿舎のようなところに入れられて、ご飯はそこで食べて、まさしく奴隷のように働いています。ですが、労働者の人たちは大した給与をもらっていない。とにかく、働くということはみんな外国人がやっています。そして国民は朝から晩まで、本当に働かない。世界中でこんな国はないので、とても不思議でした。でも、人間は生まれてから死ぬまで、なんとかの形で希望と目標とチャレンジがないと、廃れていくのではないでしょうか。

ルーブル・アブダビ美術館の素晴らしさは、一度訪れただけでは味わいきれなかったと感じているので、また近い内にぜひ再来するチャンスを作りたいと思っています。

(次回は8月10日号掲載)