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おばあちゃま、世界を翔ぶ
〜情熱とコンパッションの半生記〜

New York ビズ!にて連載中
Vol. 94

メキシコの中部にあるアグアスカリエンテスにて(2)

メキシコの風習:死者の魂を肯定的に捉える

さて、今回の「第3回世界温熱大会」はメキシコ中西部にあるアグアスカリエンテスという町で実施しました。この町の名前は「温かい水」という意味で、その名の通り、この町では昔、大変に熱い良い温泉が出ていたのです。

1500年代に街が建設されたときにその豊富な湯量からこのように名付けられ、日本のようにそれをうまく管理できたら良かったのにそれが出来ず、温泉地として発展しなかったのですが、今、政府が関わって日本のように温泉地として成功させようとしていて、郊外に新しく温泉施設を作ろうとしているのです。街には古い温泉施設もあります。オホカリエンテ温泉というところへ行くと、19世紀後半から温泉施設として稼働している場所で昔のお風呂に入れます。個室の浴室と、幾つかの共用温泉が体験できます。

メキシコは北部はドラッグが蔓延っている、とても危ない地域です。南部は大変貧乏な地域で、そして中部は豊かで教養のある人たちが住んでいます。この中部は気候は温暖で、1900メートルくらいの高地にあるのですが、いつも過ごしやすい気温だそうです。

車メーカーなど日本の企業の工場が周囲にたくさんあるので、日本人の居住者も実は多い街なのです。お店に入ると日本語訳が書いてある場所もあったりして、日本人にとっては気軽に観光しやすい街だと思います。

中心部には、スペイン統治時代の古い町並みが残っていて、コロニアル調の建築物が見られるので観光スポットとしても人気がある場所です。市街地の中心にあるパトリア広場という場所に行くと、その周りにたくさんある歴史的建造物を見て回ることができます。塔が美しくて有名なカテドラルも、この広場のところにあります。

私は先日も打ち合わせにこの街を訪れましたが、オーリングの下津村先生や、温熱治療器を一緒に開発した宮下さんはアグアスカリエンテスが初めてだったので、一緒に観光もしました。観光の人気スポットとしては「マルコス地区」という場所があります。ここは世界的に見ても有名なお祭り、サン・マルコス祭りの開催地で、古い闘牛場やサン・マルコス庭園、サン・マルコス寺院など散策して回るだけで楽しいものがたくさんあります。夜のライトアップもきれいです。

このサン・マルコス祭り以外にも、実はアグアスカリエンテスには有名なお祭りがあります。この「ガイコツ祭り」がちょうど、私達の大会日程とかぶっていたので、影響がないかしらとヒヤヒヤしていたのですが無事に大会が終わってほっとしています。メキシコでは、ガイコツを死と生の象徴として考えるのだそうで、街のあちこちにガイコツがモチーフの置物やお土産ものがあります。私にとってはガイコツ=死、不吉なもの、というイメージだったので最初はびっくりしたのですが、死を怖いものと考えず、生とつながっているものと考えて、生と死を一緒に、ポジティブに扱ったり、死者の魂が戻ってくることを肯定的に捉える感じに、日本のお盆と共通するものを感じました。故人を送り出すこのお祭りはとても明るいお祭りで、華やかに花火が上がったり、お墓参りもして、オレンジ色のお花が町中にあふれ、たくさんの飾り付けがされて、街中がキレイに彩られます。人が死んでから、その人のガイコツを自宅に長い事置いて、一緒に暮らす習慣があるのです。ダウンタウンのあたりは大会中、もうこのお祭りで大騒ぎになっていたようです。

色々おすすめはありますが、私が特におすすめしたいのは、以前もちょっとご紹介した、この地方の料理で、この土地で世界一の特別なグアバがあってそれを使います。この小さい黄色のグアバの実を長い間煮て作ったソースに肉やお魚などを入れて煮込みを作るのですが、なんとも甘酸っぱい、深い味わいになるのです。この地方のグアバを使ったお料理は世界一です。食べられる場所があったら、ニューヨークでも食べたいものです。